地方で働きながらの不妊治療!満身創痍

30代後半、地方で働きながら取り組んだ不妊治療の記録です。

9.体外受精への挑戦2(トライ アゲイン)-②2度目の採卵と仕事との両立

 体外受精2巡目。一から方針の再検討である。

といっても、移植は指定日にクリニックへ行くだけなので、患者に選べるのは排卵誘発方法位だ。しかしこれがとても難しい。どの方法を選択するかで採卵に向けた通院回数=仕事への負担 が、大きく変わってくるからだ。

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 前回私は体と仕事への負担を考え、一般的な排卵誘発方法よりも少しマイルドな方法を選んだ。それでも3回の2日に1回の通院と、注射3回を要し、仕事面でかなり大変なことになったのだが、今回はマイルドでは無い一般的な排卵誘発方法(アンタゴニスト法)を選ぶことにした。

効き目があるということは、それだけ薬の量が増え、通院回数も増える。都会のクリニックへ片道3時間の地方住まいには、緊急の際病院に行けないなどの不安はあったが、前回の過程で薬の副作用など大きなトラブルが無かったことが、なんとかなるんじゃないかという自信につながっていたし、長い目で見ると、一時期ハードでもとにかく移植可能な受精卵数を増やして、心身共にきつくて、仕事への影響も大きい採卵を繰り返さずに済むようにしないといけないという思いからの選択だった。

要するに、『次で採卵とおさらばしてしまわないと色々もたない』と考えたのだ。

 

 幸い子宮の状態に問題は無く、先月に引き続いて治療が可能とのことだった。

結果的に、11日間で4回の通院と9回の注射(図参照)により採卵に至った。

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 卵子の成熟等の関係で、この排卵誘発方法の割には通院回数が少なく済み、通院回数だけ見ると前回と変わらない結果となった。

しかし、その間の仕事は新規事業の関係で多忙を極め、採卵時点で私の気力と体力は限界に達しようとしていた。

こんなに心身ともに疲弊して、質の良い卵子が採取できるのか不安を抱えつつも、そんなことに思いを馳せる暇も無いほど、サービス残業や昼休み返上で日々迫りくる通常業務をこなすとともに、のしかかる新規事業関連の業務に取り組んだ。

涙を目からではなく心で流しながら。。。

 

 上司自身も多忙を極める中、私が通院のためにちょくちょく年休を取ることについてどうこう言われることは無かった。が、その関心は、私の負っている仕事が回っているかのみに向けられており、治療への心配や配慮といったものを見せることは無かった。

一方、私は私で、不妊治療という事情を知らせていない同僚に出来るだけ迷惑をかけてはいけないという思いと、上司への反発で、仕事をこなさなければ!と意固地になって自分で自分を追い詰める日々が続いていた。

 

 育児支援は徐々に社会に受け入れられつつある。けれど、不妊治療への理解や支援は発展途上で、個人の都合として受け取られるケースがほとんどである。

少子化への対策が必要急務と言われる中、子供を持ちたいという人々が大勢不妊治療専門クリニックに押し寄せている。しかし、仕事をしながら取り組む治療の負担をここまで個人が抱え込まなければいけないものなのかと、悲しくもあり空しい気持ちになったのを今でも強烈に覚えている。

一応私の会社は、現在、女性の働き易さを謳って新入社員を募集しているはずなのだが、それは妊娠という成果を出した人のためのもので、まだそこに至っていない人間には結構冷たいものだった。人手不足の中、そうそう個人の事情を配慮していられないという考えも当然理解できるし、10年前と比較して仕事量は増える中、人員は削減され続け、それでも上司は組織を維持していかなければならない。とても厳しい立場だろう。

しかし、不妊治療には年齢の限界がある。どうしても一時期、上司や愛すべき同僚達に迷惑をかけ、時に嫌われ、白い目で見られ、いわゆる不妊様と思われようと、優先すべきことが私にはあった。子供を持ちたいという自身の願いと、優しい夫を父親にしてあげたいという想いは何ものにも勝った。

職を辞すこともなく、会社に負担がかかる治療方法を選択したことで、社会人失格と言われても、どうしても自分本位にならざる得なかった。でも、それは常に激しい葛藤を伴うものだった。

 

そして、2度目の採卵の結果は…