11.2度目の移植-①治療と仕事のどっちつかず
1ヶ月の休止期間を置いた後、胚盤胞移植のため、服薬などの準備が移植予定日の半月ほど前から始まった。
採卵と移植を同月に行った前回と違い、移植のみであったのでまだ少し心に余裕が持てた。
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とは言え、薬の服用開始のタイミングでの1回の通院後、移植に向け1週間程の間に2回の事前診察と移植、その10日後に血液検査による妊娠判定を受けねばならず、1ヶ月の間に計5回の通院を要した。
調整可能な範囲で土日やせめてその前後に通院日を設定し、仕事と体力の負担を軽減できるよう、医師と都度相談しながら診察予約を入れていたが、結局4日程、会社を休まざる得なかった。
これじゃあ採卵有りの時と変わらないじゃん!
と思いつつも、自己注射が無いことや、既に胚盤胞を得られていたことから高い確率で移植にチャレンジできる点はまだ気楽だった。
前回のように採卵と移植が同時だと、移植可能な胚が得られるかどうかも分からないのに移植に向けた服薬等をしなければならない。
不妊治療とはまさにギャンブルなのだ。
そういう意味では、前回は回転式ジェットコースター、今回は乗り物に乗ってるだけで終わるお化け屋敷位の差があった。
妊娠の成功を願うなら、仕事のことは気にせず、各段階でベストなタイミングで通院するべきだ。しかし、年度当初より落ち着いたとは言え、依然仕事は多忙を極めており、治療にのみ注力することは不可能だった。
幸い、担当医師は私の状況に理解を示してくれ、治療にさほど影響しない範囲での調整に応じてくれたが、治療と仕事、両方が半端でままならない状況の中、
一体何のために治療をしているのか。私は本当にこれでいいのか。
と自問自答しながら通院を続けざるを得なかった。
さらに、直属の上司2名が軽やかに去っていったため、次の新しい上司達にまた事情を話し、治療をしながら業務に取り組むことへの理解を求める作業を一から始めなければいけなかった。
前の上司から後任の上司に引継ぎをしておくとは伝えられていいたが、異動ができなかった経緯やその後の発言などから、あまり状況を理解してもらえているとは思えなかったので、どうしても自分の口から説明をする必要性を感じていた。
しかし、もともと人には話し辛い内容だ。
既に体外受精にも一度失敗していることや、治療の終わりが見えないことなどを話すのは、思った以上にしんどいことだった。