地方で働きながらの不妊治療!満身創痍

30代後半、地方で働きながら取り組んだ不妊治療の記録です。

18.不妊治療総括-③地方・病院編

 地方に住みながらの不妊治療…それは治療にとってハードなスパイスでした。

色々想いが溢れている部分なので、お金編、仕事編に続いて、この点についてもまとめてみます。愚痴っぽい内容になってしまうのは、どうかご容赦を…。

 

 

1.大前提

 最初に声を大にして言いたいこと…それは、私は別に地方が嫌いでは無い!ということだ。地方下げ、都会上げをしたいわけでは無い。

地方には地方の美点があり、転勤で地方勤務を任じられてから不妊治療を始めるまでの約1年間は、夫婦水入らずでそれなりに楽しい生活を送っていた。

その点だけは理解して読んでいただきたい。

 

2.地方の病院事情

 地方には病院やクリニックがとにかく少ない。さらに、比較的都会に近い郊外でさえも産科を標榜する医療機関が減少している現在、地方に不妊治療専門のクリニックなどほぼ存在しない!

既存の産科を維持するため、国や自治体が必死で延命しているのが現状だ。

 私が住んでいた地方も、たった一つの産科のある総合病院が地域の出産の全てを担っていた。常に産科医不足の中で、不妊治療はおまけ程度にしか行っていなかった。

 卵管造影や諸々の血液検査、精子のチェック等々、専門クリニックでは最初に行う検査を、『様子見』の名の下に行うこと無くタイミング指導のみ行い、それでしばらくダメだと徐々に検査を行うか、一部の検査を施設のある都会のクリニックにアウトソーシングする…それが私の地方で受けられる唯一の不妊治療だった。

そんな治療の範囲で妊娠出来ない場合、結局都会の専門クリニックに行くしか無い

これが現実なのだ。

そして専門クリニックがある都会に出るためには電車や車で片道数時間以上かかる…。

地方での不妊治療は足かせが有り過ぎる。

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3.地方の交通事情の壁

 不妊治療は基本予約制で時間に厳しい。特に人工受精や体外受精の採卵や移植になると、決まった日の決まった時間に必ずクリニックに駆け込まなければならない。

が、地方からだと時間通りの通院が本当に難しい。

そう、地方の交通機関は脆弱で頻繁に止まったり遅れたりするのだ。

私の地方では大雨で線路が冠水し、丸3日電車が止まり、陸の孤島と化したことがあるし、台風・強風・大雨等で丸1日電車が止まることもよくあった。

そして地味に多いのが野生動物(主に鹿)を轢いての遅延…。これでクリニックへの到着が遅れたり、帰宅が遅れてクタクタになることが何度もあった。

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 車を運転すれば…と思う人もいるかもしれないが、体外受精に向けて出される薬の中には、突如眠気が起こす可能性があり、車の運転を控えるように言われるものもある。

さらに、諸々の治療や待ち時間などでヘトヘトになった後、1人で車を何時間も運転して帰宅するのはあまり現実的では無く、クリニックとの距離にもよるが、自家用車の利用にも限界がある。

 近くに不妊治療専門クリニックは無い。けれど、都会の専門クリニックに定期的に通うことも難しい

それが地方での不妊治療の現実だ。

 

 そして、少ないダイヤ故に、人工受精や体外受精などの際、始発に乗ってもクリニックが指定する早朝の来院時間に間に合わないため、前日泊をせざるを得なかったり、治療の範囲に制限が出てくることがある。

私の場合、これで人工受精にチャレンジ出来なかった。

baby-waiting-blog.hatenablog.com

 また、大きな地震と被った3度目の胚盤胞移植の際は、前日に実家に帰っていなかったら、絶対に指定日当日にクリニックに到着出来ず、地震発生前から解凍が始まっていた貴重な胚盤胞が無駄になっていた可能性があった。

baby-waiting-blog.hatenablog.com

 

4.お金について

 地方からの通院には交通費がかかる。過去記事でも書いたが、私が11ヶ月の不妊治療で使った交通費は、

 合計 ¥272,720 也

実家がクリニックのある都会の近郊にあり、宿代わりに出来た私達夫婦でさえ、たった11ヶ月でこんなにかかった。それが出来ない人の場合、宿泊費も嵩む可能性がある。

 

5.メリットは無いのか?

 かなり考えたが、地方に住みながら不妊治療をする一般化出来るメリットは見当たらなかった。。。

ただし、個人的なこと言うと、通院生活が余りにもキツくて、治療をステップアップする後押しになったと思う。

元来ヘタレで怖がりな私は、不妊治療生活が地方住まいのスパイスでこれほどキツくなければ、体外受精へのステップアップや、治療期間短縮のための着床前診断に中々踏み出せなかったと思う。

結果、子供を授かることができたのだから、地方住まいが後押ししてくれたといえなくも無い。

 

6.ではどうするか

 地方に住みながらの不妊治療には様々な制限がある。また、肉体的精神的な苦労が多くなる。

それでも、私は最初から都会の専門クリニックに行って良かったと思っているし、もし地方住まいの友人にどうするか相談されたら、遠くても最初から専門クリニックに行くことを勧めると思う。

近隣の専門外のクリニックで治療に限界がきて、体外受精が可能な他のクリニックに移ることになったとして、そこから検査をして医師との人間関係を構築するのは時間とお金のロスが大きいし、何よりストレスがかかる。

 タイミング指導、人工授精、体外受精…自分はどの治療まで行うつもりか…地方住まいの不妊治療は、最初から自分の覚悟と向き合い、後悔しないクリニックを選ぶ必要がある。

 

…と、偉そうなことを書いてみたが、将来の見通しが立たないのが不妊治療。私は治療中に上司に『これからどうするの?』と聞かれるのが死ぬほど嫌だった。

いつ結果が出るか分からないので、これからどうなるか自分でも分からないので、他人に聞かれても答えようが無かったのだ。

最初から体外受精を想定して治療を始める人なんて少ないだろうし、自分でも難しいこと書いているなぁという自覚はある。