地方で働きながらの不妊治療!満身創痍

30代後半、地方で働きながら取り組んだ不妊治療の記録です。

12.着床前診断のこと-③結果

 熟慮の末実施を決めた着床前診断。検査に出した5日目に胚盤胞に至った貴重なG5 AAの検査結果は以下のようなものだった。

 

 2個:異常無し

 1個:染色体14番のトリソミーのモザイク

 1個:染色体16番のトリソミー

 ※トリソミーとは染色体が通常より1本多い状態 

 ※モザイクとは正常染色体と異常染色体が混ざっている状態

 

正常胚の確率50%。

この数字が良いのか悪いのか、正直分からないが、調べられる範囲で正常胚が得られたことに心底ほっとした。

これで少しは安らいだ気持ちで2度目の移植に臨めると…。

それだけ、着床してちゃんと成長する可能性が高い胚の存在というものは大きかった。特に染色体異常の卵子が多いとされる、30代後半の我が身にとっては…。

 

 先生からも『まずは正常胚が得られて良かったですね。』というお言葉をいただいた。当面の治療方針としては、得られた正常胚を順次移植していくことになったのだが、問題は残りの2つの胚だ。

14番トリソミーのモザイクについては、分裂が進んだ時、正常染色体と異常染色体がどのような割合で増えていくのか分からないことから、逆にまだ見込みがあるということで、保存の継続を提案され了解した。

一方で16番トリソミー。これについては、『移植対象としてはお勧めしない。』ということを、はっきり、きっぱりと言われた。どうやら着床しても、流産・死産になる可能性が非常に高い染色体異常らしい。

 

 非情だと思う人もいるかもしれないが、この段階で染色体異常の胚が見つかって良かったと心底思った。

正常胚を移植しても、妊娠が約束されるわけでは無いということは了解しているが、せめてその成功率は通常のものであってほしいと願ってやまない中、物凄く低い確率に賭けるほどの余力は、もう私には残されていなかったからだ。

 

 そして、ここでまた選択を迫られることになる。移植をしないことを決定した16番トリソミーの胚をどうするか、だ。

選択肢は2つ。

廃棄するか、医学の発展のために検体に出すか…。

エゴかもしれないが辛い選択だった。検査に出した全ての胚は、既に凍結されているため、その場で結論を出す必要は無いということだったので、自宅で夫と相談して決めることにした。どうせ2度目の移植に向けた、頻繁な通院が始まるため、医師に結論を伝える機会は沢山有る。

 

 そして3日後の通院の際、夫婦で話し合った結果を先生に伝えた。

『廃棄します。』と。

お腹の中に戻してあげられない申し訳無さから、せめて安らかに眠って欲しいと願っての結論だった。この瞬間が、私なりに着床前診断の功罪を一番生々しく感じた瞬間だったと思う。

 

次回、着床前診断の全体的な感想を書きます。