地方で働きながらの不妊治療!満身創痍

30代後半、地方で働きながら取り組んだ不妊治療の記録です。

12.着床前診断のこと-②内容

 着床前診断の捉え方については医療機関毎に違いがあるようだ。

結構有名な専門クリニックでも、遺伝子検査(PGD)も染色体検査(PGS)も行わない所もあれば、日本産婦人科学会の指針に反して検査を行い、学会から資格停止処分をくらったり、院長が学会から退会する形で検査を継続していた所もある。

子供に遺伝する遺伝子変異や染色体異常を持つ人以外への実施は、基本的に学会の指針に反しており、数年前まではその実施が判明すると、その医療機関の院長は日本産婦人科学会から処分を受けていた。

ただし、法律でこの検査は禁止されていない。そのため、産婦人科学会が下せる処分というのは、あくまで医師に対する指導や注意、学会資格に関わるものに限られているのだが、実質その部分で学会が医師の行動を制限し、結果、患者への検査が制限される仕組みとなっている。

 

 ただ、時代は変わってきているようだ。

良い悪いは別にして、今では遺伝子変異や染色体異常を持たない患者に対しても染色体検査(PGS)を実施する医療機関も増えてきている。最近日本産婦人科学会の指針が緩和された…とかそういう理由からでは無く、いつのまにか一般化している出生前診断と同様に、専門医の考えや不妊治療患者側からの要望などから、グレーゾーンで広がっているというのが現実だと思われる。

そして、私の通っていたクリニックでも染色体検査(PGS)を受けることができた。

 

 染色体検査(PGS)は受精卵(胚盤胞)1個当たり約15万円(税別)でお願いすることができた。高いんだろうな…ということは予想していたが、想像以上の値段で目玉が飛び出るような思いがしたが、仕事との兼ね合いや片道3時間のクリニックへの通院の苦労、そして出ない成果のこともあり、心身ともに満身創痍となっていた私を見て、特に母親がこれ以上治療を長引かせてはまずいと判断し、検査の実施を勧めてくれた。

そして、夫も同様に賛成してくれたことから、実施に踏み込むことができたのだ。

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 着床前診断の実施に当たっては事前にカウンセリングを受ける必要がある。そこで強調されたのは以下の内容だ。

 

・検査対象となる染色体は、14番・16番・21番のみ。それ以外の染色体異常は見つけられない。

 ※現在では全ての染色体を調べる検査もあるらしい。

・あくまで特定の染色体検査なので、染色体由来ではない障害を持つ子供が生まれてくる可能性は当然ありえる。

・検査では受精卵(胚盤胞)の細胞を一部取り出すことになる。その行為について現在は問題無いとされているが、将来的に子供にどのような影響が出てくるかは明確には解明されていない。

・検査は完璧なものでは無い。0.1%ほどの確率で検査結果とは違う子供が生まれることがある。

・男女の産み分けのために行うものでは無いので、性別は開示しない。

 

 何となく分かってはいたが、なかなか厳しい内容である。性別の開示云々はどうでもよいことだったが、細胞を採取することについての将来的な影響は分からないと言われると、どうしてもドキッとしてしまうし、受精卵(胚盤胞)への負担も心配だった。

しかし、戸惑いもあったが、不妊治療の辛さや、大変さを思うと、少しでも赤ちゃんに近づけるのであれば…と、検査をやめるという結論には至らなかった。

 

 カウンセリング時は2度目の採卵を通じ、胚盤胞をいくつ得られるか分からなかったため、採卵実施後に検査個数を決定することにした。

運よく2度目の採卵結果は過去記事の通り上々だったため、先生や夫とも相談の上で、5日目に胚盤胞に至った受精卵11個の内、最高グレードG5 AAの胚4つを検査に出すことにした。その金額約60万円(税別)!

貯金がぶっ飛んで行った…。

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  検査結果が判明するには1ヶ月ほどかかる。2度目の採卵後は、排卵誘発剤の影響で子宮が腫れてしまっていたため、治療は一周期休まざる得なかったことから、次周期の移植に向けた最初の診察の日に検査結果を聞くこととなった。

治療を休んでいた間、仕事は多忙を極め、クリニックの近くに異動もできなかったことで、ものすごい絶望感を抱きつつ、約一ヶ月ぶりにクリニックに行った。そこで聞いた検査結果は…。