19.新ブログ開設しました
こんにちは!満身創痍です!
現在の私は、地方・働きながら・不妊治療という3要素のうち、地方という要素が無くなり、2人目の不妊治療もお休み中です。
ブログの柱を成す状況が大きく変わってしまっているので、同じIDで新しくブログを開設することにしました。
こちらの『地方で働きながらの不妊治療!』ブログはしばらくお休みをし、新ブログで出産後のこと(保活・育休・共働き等々)のことを書いていく予定です。
よろしければこちらもご覧いただけると嬉しいです。
新ブログ記事
(新ブログ開設のご挨拶)
https://baby-waiting-blog.hatenadiary.jp/entry/2020/05/25/091500
(出産後のこと)
https://baby-waiting-blog.hatenadiary.jp/entry/2020/05/27/170900
よろしくお願いします!
18.不妊治療総括ー⑧不妊治療
不妊治療総括編の最終記事となります!
不妊治療全体をまとめてみました。
1.不妊治療で失ったもの
約1年間、6回のタイミング指導の後、地方故に人工授精をスルーし、2回の体外受精、3回の胚移植まで駆け抜けた私の不妊治療…。失ったものをまとめてみた。
①第一線で働いていた自分
治療を開始する前は結婚も遅かったこともあり、総合職の正社員としてそれなりに仕事をしている自負があった。
それが不妊治療の開始により、仕事を大幅にセーブしなければならなくなった。
セーブするだけならまだしも、従来の仕事量をこれまで通りこなすことも難しくなった。
治療時に担当していた仕事の性質上、休みがちになっても、出勤日に残業や昼休み返上で必死でこなしたり、場合によっては持ち帰り仕事をして何とかこなしたが、電話や急な対応等、出勤していないだけで上司や同僚に迷惑はかかってしまうわけで…過去記事の通り、同じ班の人には事情を話すなどしたが、複雑な思いをさせてしまった部分は否めない。
baby-waiting-blog.hatenablog.com
そして、仕方が無いのは理解しているが、不妊治療を経て妊娠出産育休を経た現在、仕事の第一線からは外れてしまった。
それは不妊治療のせいだけでは無く、妊娠出産を経た女性の働き方という大きなテーマに繋がってしまうのだが、不妊治療開始から妊娠期を経て育休終了までの約3年の間に、絶えず働く同期男性達との間に、社会人として差がついてしまっている。
贅沢な話かもしれないが、あせってしまう自分がいるのは否めない。
多くの時間と気力をより会社に捧げて貢献した人が、そうでは無い人よりも昇進するのは当たり前の話なのだが、これまで頑張ってきた自分のことを思うとどうしても複雑な気分になってしまう。
②お金
何度も書いたが不妊治療はギャンブル。とんでもないお金がかかる。
私の場合、不妊治療にかかったお金の総額は約250万円だった。
得られた赤ちゃんの笑顔がプライスレスとは言え、原因不明不妊でさえなければかからなかったお金だと思うと…やはり血を吐きそうな気分になる。
治療をせずに子供が授かれる人達が心底羨ましい。
③時間・気力・体力
地方住まい故に通院日は往復を含めると丸一日がかりになってしまっていた私にとって、治療にかかった時間はとんでもないものだった。
中々出ない治療結果と相まって、気力・体力はどんどんどんどん削られ、私は心身共に荒んでいき、満身創痍となった。
④失ったものまとめ
不妊治療…1年間の治療期間、私の心身ともに大きな部分を占めていたこの治療。後述の『2.不妊治療で得たもの』を差し引いても、はっきり言って
せずに済むならそんなにいいことは無い
と今でも思う。
仕事をしていてもしていなくても…地方住まいでも都会住まいでも…それぞれに事情を抱える中、治療がしんどいことに変わりはない。
そして、この少子化の時代、私達夫婦が払った代償のこと思うと、やりきれない気持ちになる。
特に、①第一線で働いていた自分や、③時間・気力・体力 はある程度仕方ないとしても、②お金 については、政治で変えられる部分ではないだろうか。
さらに私の場合、当時の会社(上司)の理解がイマイチで、事情を話しても規定年限が来ていないなどの理由で元の勤務地に戻してもらえず、治療があと少し長引いていれば、体力・気力面の限界で退職せざる得ないような状況だった。
一応、女性の働き易さを売りにしている会社のはずなのだが、不妊治療中の社員に優しい体制とは言えなかった。
baby-waiting-blog.hatenablog.com
恐らくこれが、今の日本企業の99.99%に当てはまる現実なのだと思う。
人手不足の中、
『治療は応援したいけど、自分達とは関係無い何処かで頑張っていて欲しい。』
というのが正直な感覚なのではないだろうか。
実際休みがちな人の穴は誰かが埋めないといけないわけで…職種によってはそれも難しいことがある。
それでもあえて、治療費やサポート体制の不備等々、少子化爆進中の日本社会は本当に子供を必要としているのか…と、思わずにはいられない。
必要だと分かっていることを、資金や人的資源の不足から制度的にサポート出来ない状態…社会が疲弊しているとは、こういう状況を指すのだと思う。
2.不妊治療で得たもの
①赤ちゃん
これは揺るぎない。
不妊治療の唯一最大目的である赤ちゃんを得られたのは大いなる幸運だった。
②知見
不妊治療は大変らしい…という漠然とした認識はあったが、まさか自分がそれにあたるとは、そしてこれほど大変なものとは思わなかった。
不妊治療の経験は私の人間としての経験値になり、知見を広めてくれた。それにより、職場に同様の状況の人がいたら、業務分担などの面で力になりたいと思えるようになったし、問題意識を持つことが出来た。
治療を通じて得た経験は私の財産になった。
前よりも少しは優しい人間になれたかもしれない。
3.近況報告と今後の方針
出産後育休を取り、保活、会社との交渉等々、色々ありましたが、現在元の実家近くの都会の勤務地に戻り、仕事に復帰しています。
不妊治療については、2人目へのチャレンジのため再開しようかと思っていた矢先、コロナ禍が起こってしまい様子見をしている状況です(年齢的に時間的な余裕は全くないのですが…)。
とにもかくにも、『地方で働きながら不妊治療!』というブログタイトルに、現在の自分が全く当てはまらないので、不妊治療関連の記事は本記事をもって一休みとし、本記事投稿後、しばらくしてから、不妊治療関連のはてなブログのグループからも一度抜けようと考えています。
治療を再開するまでは、大学卒業後に入った超絶ブラック企業のことや、ワーキングマザー的な内容で、投稿は続けていきたいと思いますので、引き続きお付き合いいただければ嬉しいです。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
心よりお礼申し上げます。
18.不妊治療総括ー⑦妊娠期間
妊娠後も不妊治療の影響があった。
私の場合、
妊娠=即不妊治療専門クリニックの卒業
にはならなかった。
妊娠3ヶ月の安定期に入る頃までは、2週間に1回の通院、胚盤胞移植後からの続いている薬の服用や座薬・ホルモン補充テープなどを継続しなければならなかった。
妊娠継続に必要なものだと理解していたが、
妊娠=関連治療からの卒業
だと思い込み、一度緊張の糸が切れた私には少しきつかった。
本来は、1週間に1度は通院すべき所だが、片道3時間という距離と早々に発症した重度の悪阻から、2週間に1回に緩和してもらったという事情もあったのだが…。
妊娠確認後から不妊治療クリニックからの卒業までの間にかかった医療費は…
¥79,280!
交通費を中心とした諸経費を含めると10万円を軽く超えていた。
妊娠後も普通の人より大変なんだなぁ。手間もお金も…。
というのが正直な感想だった。
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そして、一応の安定期を迎え、不妊治療クリニックを卒業した後も、出産迄流産・死産の恐怖に怯えていた。
流産・死産の恐怖と戦っているのは私だけではないのは分かってはいるが、やはりもしそうなった時、また高額の着床前診断をして、移植をして、妊娠確認までのモヤモヤした日々を過ごす苦労・恐怖・金銭的負担を考えると、どうしても
今回のチャンスを活かせないとまた大変なことになる。
という思いに常に支配され、重度の悪阻との闘いを差し引いても、想像していた楽しいマタニティライフを送ることはできなかった。
週別の早産の赤ちゃんの生存率のサイトをチェックすることを日課とし、
『15週…ああ、今生まれても赤ちゃんは生きられないんだな…。』
『23週…今生まれても死亡率は50%以上か…。』
『28週…今生まれたら臓器は一部未発達で後遺症が残る可能性も高いけど、かなりの確率で生存できるんだな…なんとか可能性が高まってきた…。』
『34週…臓器は整ったはず。でも途中で臍の緒が巻き付いたりしてお腹の中で赤ちゃんが死んじゃうこともある…。』
『37週…正産期か…でもお産で色々あることもあるし…。』
ということばかり考えていた。
後ろ向きだなぁ…と自分で自分が嫌になったが、ネガティブ思考を止めることはできなかった。
こんな思いに囚われた約10ヶ月の妊娠期間はなかなかにハードだった。
不妊治療に成功して赤ちゃんを授かることができた私はとにかく幸運なのだという自覚はある。
でも、仕事をしながらの再度の治療と、それを踏まえの妊娠期間のしんどさを考えると、コロナの影響も相まって第2子のための治療の開始にどうしても踏み出せない今日この頃だ。
18.不妊治療総括-⑥着床前診断
過去記事の通り、私達夫婦は体外受精の過程で 、着床前の受精卵の染色体異常を調べる着床前診断(PGS検査)を利用した。
それは私達の不妊治療には必要なことだった。
『命の選別』等、賛否両論ある検査だが、私達夫婦がこの技術によってどんなに助けられたかをまとめてみた。
1.着床前診断に至る経緯
1回目の採卵に向け、地方から頻繁な片道3時間通院と薬の副作用、そして仕事との両立でズタボロになった。
何とか採卵には至ったが、受精に使えそうな卵子はたった1個しか採取できなかった。その受精卵ちゃんは何とか分裂を続けてくれ、運良く初期胚移植までこぎつけられたが、結果撃沈した。
『あの疲労と絶望を繰り返したくない…。』
『このままでは体がもたない…。』
精神と肉体の両面から考え、次の体外受精では少しでも確率を上げたい!
という強い思いで、賛否渦巻くこの検査の実施に踏み出すことができた。
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そのために、まずは採卵数を増やさねば…ということで、体への負担を承知で排卵誘発方法を体にマイルドなものから、自己注射が複数回必要となる方法(アンタゴニスト法)に切り替えた。
結果、15個もの胚盤胞を得ることができた。
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そして、得られた貴重なG5 AA(グレードとしては最高ランク)の胚盤胞4個を染色体の着床前検査であるPGS検査に出した。
かかったお金は¥648,000…。
その月のクレジットカードの請求額は、体外受精諸々の費用を含め100万円を超えた。
ぐふっ
2.着床前診断の結果
4個の胚盤胞の染色体異常を調べた結果…。
2個:異常無し
1個:染色体14番のトリソミーモザイク
1個:染色体16番のトリソミー
※トリソミーは染色体が1本多い状態
※モザイクは正常染色体と異常染色体が混在している状態
正常胚を得ることが出来た!これで少しは安らいだ気持ちで以降の移植に臨める…と、心底ほっとしたことを今でも覚えている。
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3.今振り返っても必要だった着床前診断
染色体異常がある胚は、着床しても途中で流産・死産してしまう可能性が非常に高い。一部の染色体異常ではほぼ流産・死産してしまう。
『移植すればそれなりの確率で出産にまで至る正常胚が、私達夫婦の受精卵には一定程度含まれていることが分かったこと。』
これが検査を通じて得られた一番有益な情報だった。
治療継続の大きな希望になった。
以降の不妊治療の戦略を立てやすくなった。
そしてその思いは無事出産を経て1年が経った今でも変わりない。
むしろ、不妊治療から少し遠のいた今、より冷静な頭で考えてもこの検査は私達には必要なものだったと断言できる。
着床前診断をしなかったとして、移植してもほぼ確実に流産・死産に至る胚を、月に1回しかないチャンスに数十万円かけて移植するほどの余裕は、30代後半にさしかかった私達には無かった。
結果、正常胚を移植した2回目の移植は撃沈したが、3回目の移植で無事妊娠に至ることができた。
3回目の移植に当たって、思い切って年休を多めに取得して体を休ませて臨む勇気を出せたのも、この検査で残る正常胚の数を把握していたおかげだった。
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確認できている正常胚が残り1つしかないことが分かっていなければ、いつ終わるか分からない不妊治療の中、胚盤胞のストックがいくつかあることで逆に、余分な年休を取得する勇気を持つことはできなかっただろう。
そして、移植のための地方からの頻繁通院や、増加した仕事を抱え、満身創痍で心身共に疲労の限界を迎えた状態での移植では、今回出産に至った正常胚でも妊娠すらできていなかったかもしれない。
今、傍らで眠っている愛しい我が子。この子に会えなかったかもしれない。
そう思うとぞっとする。
4.妊娠後に感じた着床前診断のメリット
何とか妊娠することができたが、夢にまで見たマタニティライフは、出産まで重度の悪阻との闘いだった。
クリニックの先生の説明によると、着床前診断も万能では無く、0.1%程の確率で外れることもあるとのことだった。高齢出産ということもあり、もし胎児に異常があるのであればそれなりの準備をしてお産を迎える必要がある…と考え、出生前検査の実施も検討していた。
しかし、私が里帰りするまで通っていた広大な地域に一つしか無い産科標榜の総合病院では、関連の検査を一切実施していなかった。
重度の悪阻で入院寸前にまで陥っていた私には、片道数時間をかけて、
事前カウンセリング→検査→検査結果通知
と、何度も通院が必要となる出生前診断のため、都会の病院へ長時間かけて何度も通院できるような状況では無かった。
結局、赤ちゃんや自身への負担を考え出生前検査の実施を諦めざる得なかった。
そこで支えになったのは、着床前診断の結果だった。この検査を受けていなければ、高齢出産で障害を抱えているかもしれない赤ちゃんを普通分娩で無事産み落とせるか、不安でたまらなかっただろう。
着床前診断は、地方住まいが影響して出生前検査を受けることが出来なかった私の心を軽くしてくれた。
5.私の結論
私達夫婦にとって着床前診断は、正常な受精卵があることを教えてくれ、治療継続への希望を与えてくれた。集中的に体を休めて移植に臨むタイミングを教えてくれた。
そして、地方住まいの悪阻で出生前診断を受ける選択肢をなくした私の心を軽くしてくれた。
見つけた異常胚をどうするか…等々、様々な議論のある検査だが、私達夫婦には必要な検査だった。
現在、グレーゾーンで一部のクリニックだけが提供しているこの出生前診断。私は不妊治療の選択肢の一つとして今よりも一般化するべきだと考える。
一般化することで費用もより安価になる可能性もある。そして、出ない結果に絶望する不妊治療患者の不妊原因の究明につながる可能性もある。
批判意見があることも承知だが、その効果を知っているからこそ、不妊治療患者の選択肢の一つとして、より身近なものとなることを願ってやまない。
18.不妊治療総括-⑤夫目線
引っ越しや育休明けの会社復帰の準備などでしばらく更新できませんでした。投稿を再会していきたいと思っているので、引き続き読んでいただけると嬉しいです。
長引く不妊治…その時夫は!?ということで、不妊治療について夫にも感想を聞いてみた。
私達は原因不明不妊で、これだという原因が最後まで見つからなかった。よって、夫は、マイクロTESE等(勇気のいる手術なので詳細は省きます。玉ひゅんです。)などの男性用の治療はせずに済んだ。
夫が受けたのは、治療開始時の精子の検査と病気や抗体の検査、体外受精に突入してからは受精用に凍結する精子を放出した位で、体外受精に突入し、2〜3日毎に地方から通院する必要があった私の負担と比べると、かなりマシな状況だった。
そのせいで治療に疲れ果て満身創痍になった私から、
『あなたはいいよね。』
というようなことを言われ、八つ当たりされていたのだが、夫は耐えて立派にサンドバッグの役割を果たしてくれた。
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そんな夫に不妊治療の感想を聞いてみたところ、
『妻ちゃんが大変そうだった。』
とのことだった。
どう大変そうだったのか詳しく聞いてみたところ、
『不妊治療中って、頑張りが結果に必ずしも反映されるわけでは無いから、先が見えない中でのしんどい治療と通院は、本当に大変そうだった。。。まあ、ぼくも八つ当たりされるのはしんどかったけど(笑)』
と言われた。
夫君、サンドバッグにしてごめんよ。。。
しんどい辛いと定期的に口に出してはいたが、2人で治療のしんどさそのものについて話し合ったことは無かった。が、何と私の感想とほぼ同じだったのだ。
やはり治療の辛さはそこなのだと実感した。
受験勉強や仕事の修羅場は期限が決まっているから頑張れる。泣いても笑っても、試験や締め切りが来れば終わってしまう。でも、不妊治療はそうはいかない。。。
出口が見えなかったトンネルを何とか抜け出すことができたのは、同じ目線で物事を見聞きして考えている夫君がパートナーだったからこそだったと、しみじみと感じた。
と、キレイにまとめようとしていたのだが…最後に夫に、
『私が夫君に八つ当たりしてた時、どんな気持ちだったの?』
と聞いてみたところ、
『話しほとんど聞いて無かった。うんうんうなずくのはタダだし、心を無にして聞くフリをしてた。』
と言われてしまった!!!
美談が台無しである。
うなずくのはタダって…。
まあ、妻のヒステリーを宥める夫というものはこんなものなのかもしれない。。。
18.不妊治療総括-④家族関係編
不妊治療は精神的・肉体的・金銭的負担がのしかかる。
これらの負担は、夫婦の絆を時として強くし、時として打ち砕き、そしてそれぞれの両親をも巻き込んだ問題に発展することがある。
私達夫婦やその家族の治療を通しての関係性についてまとめてみた。
1.夫と私
夫は人間が穏やかだ。一方私はどちらかと言うとネガティブ思考で心の浮き沈みが激しい。
私達の不妊治療では、マイクロTESE等(勇気のいる手術なので詳細は省きます。玉ひゅんです。)の夫側の治療はせずに済んだため、通院の負担はほぼ私に偏っていた。
そして、何をしてでも赤ちゃんを授かりたいという想いを共有し、比較的余裕があった夫は、私が治療のストレスで理不尽にあたり散らすこともあっても、広い広い心で受け止めてくれたため、私達は不毛な泥仕合をあまりせずに済んだ。
とは言え、出ない結果にお互いイライラを募らせ…険悪なムードになることは多々あった。
一番(主に私が)爆発して夫と口論になったのは、4月にクリニックがある元の勤務地に帰任出来なかった時だった。
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通院の負担がかなり軽減されると期待していたのに実現せず、地方勤務継続を言い渡された私は、会社や当時の上司に対するに不信が爆発し、会社を辞めて治療に集中することを夫に宣言した。
治療費や将来のことを見据え、もう少し様子を見るように諭す夫。
会社や上司に対する不信から、治療をしながら仕事を継続する気力が無くなってしまった私。
毎晩毎晩話し合いが続いた。
そんな日々がしばらく続いたが、2回目の採卵と受精がうまくいき、胚盤胞が多数得られたことで、何とか前向きに頑張り直すことが出来た。
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八つ当たりで悪態をついていた当時の私を振り返り、夫に対しては、よく見捨てず、諦めずに寄り添ってくれたものだと、心から感謝の念が絶えない。
2.親族への対応
不妊治療のことを親族に伝えるか…。治療経験者であれば必ずぶち当たる問題だと思う。
私達の場合は、私の両親には治療開始前から話し、夫の両親には最後まで話さなかった。
私の両親に対しては、通院のためにクリニック近郊の実家に頻繁に帰省することになることから隠し通せないと思っていたし、年齢が近い従兄のお嫁さんが長い治療をして、私が治療を始める少し前に無事赤ちゃんを授かることが出来た詳しい経緯や情報が欲しくて、実母には治療開始前から色々相談し、情報収集に協力してもらっていた。そして、治療を通じて私を心身共に支えてくれ、無償の親の愛を再認識した。
一方で夫の両親に対しては、当初は隠すつもりは無かったが、そのきっかけを探っていた頃、私が治療中に最も焦る出来事が発生し、機会を失ってしまったのだ。
その出来事とは…。
3.不妊治療中最も焦った出来事
私が結婚したのは30代中盤で、周りの既婚者の殆どに既に子供がいた。独身時代、気楽な独身仲間が減り、子供を授っていく様子に多少の焦りは感じていたが、いつしかそんな感情にも慣れてしまっていた。
そして不妊治療を始めた時に勤務していた地方の事務所では、たまたま若い既婚者があまりおらず、幸運なことに誰かの妊娠で心が乱されることも無かった。
そんな時に起こったショッキングな出来事…それは、義弟の突然の出来ちゃった結婚だった!
治療を始めて2・3ヶ月が経過し、10万円以上かけて様々な検査を行い、夫婦共に大きな異常も見つからず、しっかりとタイミングもとっているのに出ない結果に焦りを感じ始めている時だった。
義弟が義実家に彼女を連れていくということは事前に聞いていたが、出来ちゃった結婚の挨拶であったことを、その後夫から知らされた。
未婚だった義弟のことは完全にノーマークで…心の準備ができておらず、本当に本当にビックリして焦りと嫉妬で心が乱された。お祝い事なのに心から祝えない自分の心の狭さに対する自己嫌悪も凄かった。極め付けは、お正月に義弟が無邪気に3Dエコーの写真を見せてきた時だった。
この時は本当に辛くて義実家のお風呂で泣いた…。
義弟は何にも悪く無い。理解はしていたが、感情がどうしてもついていかなかった。
ここで義両親の名誉のために言うが、彼らが孫産め攻撃をしてきたことは一度も無いし、不妊治療にことを伝えたら、受け入れて支えてくれたことは間違い無い。
さらに、妊娠に関して何かしらの努力をしていたことに気づかれている節もあったが、何も言わずに見守ってくれた。
ただ、初孫フィーバーする義両親に、自分達の治療のことを話す気にはなれず…伝える機会を失ってしまったのだ。。。
4.どのような家族関係を構築したら良いか
夫やお互いの両親…。治療を通じての関係性で悩むことが多々あった。が、経験則で言うと、治療の負担が大きい側にとって、ストレスが少なくて済むようにすることが一番だと思う。
幸運なことに、私達夫婦は子どもを持つために治療を受けること、目標のためには治療をステップアップしていくことについて最初から同じ方向を向くことができた。
そして、治療について私の両親にだけ伝えている状況についても夫は納得してくれた。
これは本当に大きかったと思う。
相手や自分の両親に治療を伝えるかどうか、つまり、ストレスの少ない家族関係の構築は、結局はお互いの考え次第だ。
不妊治療におけるパートナーとの意思疎通や相互理解ほど重要なものは無いというのが、月並みではあるが私のたどり着いた結論となった。
18.不妊治療総括-③地方・病院編
地方に住みながらの不妊治療…それは治療にとってハードなスパイスでした。
色々想いが溢れている部分なので、お金編、仕事編に続いて、この点についてもまとめてみます。愚痴っぽい内容になってしまうのは、どうかご容赦を…。
1.大前提
最初に声を大にして言いたいこと…それは、私は別に地方が嫌いでは無い!ということだ。地方下げ、都会上げをしたいわけでは無い。
地方には地方の美点があり、転勤で地方勤務を任じられてから不妊治療を始めるまでの約1年間は、夫婦水入らずでそれなりに楽しい生活を送っていた。
その点だけは理解して読んでいただきたい。
2.地方の病院事情
地方には病院やクリニックがとにかく少ない。さらに、比較的都会に近い郊外でさえも産科を標榜する医療機関が減少している現在、地方に不妊治療専門のクリニックなどほぼ存在しない!
既存の産科を維持するため、国や自治体が必死で延命しているのが現状だ。
私が住んでいた地方も、たった一つの産科のある総合病院が地域の出産の全てを担っていた。常に産科医不足の中で、不妊治療はおまけ程度にしか行っていなかった。
卵管造影や諸々の血液検査、精子のチェック等々、専門クリニックでは最初に行う検査を、『様子見』の名の下に行うこと無くタイミング指導のみ行い、それでしばらくダメだと徐々に検査を行うか、一部の検査を施設のある都会のクリニックにアウトソーシングする…それが私の地方で受けられる唯一の不妊治療だった。
そんな治療の範囲で妊娠出来ない場合、結局都会の専門クリニックに行くしか無い
これが現実なのだ。
そして専門クリニックがある都会に出るためには電車や車で片道数時間以上かかる…。
地方での不妊治療は足かせが有り過ぎる。
3.地方の交通事情の壁
不妊治療は基本予約制で時間に厳しい。特に人工受精や体外受精の採卵や移植になると、決まった日の決まった時間に必ずクリニックに駆け込まなければならない。
が、地方からだと時間通りの通院が本当に難しい。
そう、地方の交通機関は脆弱で頻繁に止まったり遅れたりするのだ。
私の地方では大雨で線路が冠水し、丸3日電車が止まり、陸の孤島と化したことがあるし、台風・強風・大雨等で丸1日電車が止まることもよくあった。
そして地味に多いのが野生動物(主に鹿)を轢いての遅延…。これでクリニックへの到着が遅れたり、帰宅が遅れてクタクタになることが何度もあった。
車を運転すれば…と思う人もいるかもしれないが、体外受精に向けて出される薬の中には、突如眠気が起こす可能性があり、車の運転を控えるように言われるものもある。
さらに、諸々の治療や待ち時間などでヘトヘトになった後、1人で車を何時間も運転して帰宅するのはあまり現実的では無く、クリニックとの距離にもよるが、自家用車の利用にも限界がある。
近くに不妊治療専門クリニックは無い。けれど、都会の専門クリニックに定期的に通うことも難しい。
それが地方での不妊治療の現実だ。
そして、少ないダイヤ故に、人工受精や体外受精などの際、始発に乗ってもクリニックが指定する早朝の来院時間に間に合わないため、前日泊をせざるを得なかったり、治療の範囲に制限が出てくることがある。
私の場合、これで人工受精にチャレンジ出来なかった。
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また、大きな地震と被った3度目の胚盤胞移植の際は、前日に実家に帰っていなかったら、絶対に指定日当日にクリニックに到着出来ず、地震発生前から解凍が始まっていた貴重な胚盤胞が無駄になっていた可能性があった。
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4.お金について
地方からの通院には交通費がかかる。過去記事でも書いたが、私が11ヶ月の不妊治療で使った交通費は、
合計 ¥272,720 也
実家がクリニックのある都会の近郊にあり、宿代わりに出来た私達夫婦でさえ、たった11ヶ月でこんなにかかった。それが出来ない人の場合、宿泊費も嵩む可能性がある。
5.メリットは無いのか?
かなり考えたが、地方に住みながら不妊治療をする一般化出来るメリットは見当たらなかった。。。
ただし、個人的なこと言うと、通院生活が余りにもキツくて、治療をステップアップする後押しになったと思う。
元来ヘタレで怖がりな私は、不妊治療生活が地方住まいのスパイスでこれほどキツくなければ、体外受精へのステップアップや、治療期間短縮のための着床前診断に中々踏み出せなかったと思う。
結果、子供を授かることができたのだから、地方住まいが後押ししてくれたといえなくも無い。
6.ではどうするか
地方に住みながらの不妊治療には様々な制限がある。また、肉体的精神的な苦労が多くなる。
それでも、私は最初から都会の専門クリニックに行って良かったと思っているし、もし地方住まいの友人にどうするか相談されたら、遠くても最初から専門クリニックに行くことを勧めると思う。
近隣の専門外のクリニックで治療に限界がきて、体外受精が可能な他のクリニックに移ることになったとして、そこから検査をして医師との人間関係を構築するのは時間とお金のロスが大きいし、何よりストレスがかかる。
タイミング指導、人工授精、体外受精…自分はどの治療まで行うつもりか…地方住まいの不妊治療は、最初から自分の覚悟と向き合い、後悔しないクリニックを選ぶ必要がある。
…と、偉そうなことを書いてみたが、将来の見通しが立たないのが不妊治療。私は治療中に上司に『これからどうするの?』と聞かれるのが死ぬほど嫌だった。
いつ結果が出るか分からないので、これからどうなるか自分でも分からないので、他人に聞かれても答えようが無かったのだ。
最初から体外受精を想定して治療を始める人なんて少ないだろうし、自分でも難しいこと書いているなぁという自覚はある。