16.妊娠後期-②羊水が少ないと…
妊娠後期にして、突然羊水が少なくなったと言われてしまった私。
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これまでも不正出血や悪阻などのトラブルはあったが、羊水量の問題は無かったのでノーマークだった…。
妊娠も後期に入り、安心しかけたタイミングでのことだったので、私のショックは大きかった。
何はともあれ、情報、情報が欲しい…。
帰宅後、速攻でGoogle先生に問うた。
『妊娠中 羊水 少ない』と。
すると、ある程度のことが分かってきた。
羊水が凄く少なくなることを羊水過少というらしい。そして、どうやら母体と胎児、それぞれが原因となるらしく、その中でも多くは前期破水によるものらしいのだが、これは身に覚えが無い。前期破水では無い母体側の原因としては、以下が挙げられるとのことだ。
■母体側の原因
①過期妊娠
②胎盤機能不全
④解熱鎮痛剤の使用
妊娠30週という時期的に①は無い。薬の一切を絶っていたので④も無い。③も妊婦検診での血圧測定や血液測定の結果からすると考えづらい。残るは②だが、これは…怖いな…。
そして胎児由来の原因は…
■胎児側の原因
①胎児機能不全
②胎児泌尿器系異常
③胎児奇形
④双胎間輸血症候群
④は絶対に無い。
③は…今までのエコーやスクリーニング検査では見られなかった。
①・②は正直分からない。でも、これが原因だとすると、本当に恐ろしい。
しかしそもそも、胎児由来による羊水過少は妊娠中期頃までになるとのことだ。
羊水過少の根本的な治療法は無いらしい…。そして、羊水過少は赤ちゃんの腎機能や肺の低形成、四肢や関節の変形を引き起こす可能性がある、とのこと。
検診の際に先生に
『私が水を沢山飲めば治りますか?』
と聞いたが、そんな問題では無いそうな。。。
まあ、重度であれば絶対安静の即入院で、人工羊水を入れたり…という措置になるらしいが、様子見を言い渡された私は、まだそこまでの症状では無いのだろう…。
それにしても、どの原因だったとしても、想像以上に大変なことになっているのかもしてない…。そしてこれから引き起こされるかもしてない赤ちゃんへの影響も深刻だ。
しかも、産休→里帰り→転院 のこのタイミングでこんな恐ろしいことになるなんて…。母体側の原因だとしたら②の胎盤機能不全だし、可能性は低いが胎児側の原因だと考えると、震えが止まらなくなる。
怖くなった私は、関連の論文や経験者の体験ブログなど、寝る間も惜しんでネットで検索しまくった。絶対体にも赤ちゃんにも悪いことは分かっていたが、何もしないでいると余計なことを考えてしまい、怖くて仕方無いためやめられなかった。
16.妊娠後期-①羊水が少ない!
妊娠も26週を超え、妊娠後期に入った後も、悪阻は相変わらず続き、食事が満足に食べられない状況は続いていた。赤ちゃんも相変わらずギリギリ許容範囲内の低体重気味だった。が、それ以外の経過は順調で、母性健康管理指導事項連絡カードを職場へ提出したことにより、追加仕事も無くなり、『このまま何とか出産できるかもしれない…。』とやっと思い始められるようになった頃、事件は起こった。
産休に入る見通しもつき、里帰りで親元に帰ることが大きな希望になっていた。そして、妊娠32週目の検診は地方の病院での最後の検診になるはずだった。しかし…この日、いつも通りエコーで赤ちゃんの推定体重や身長を測っていた時、先生が『んっ?』という顔をした。そして、
『羊水が、少なくなってるね…。』
と言った後、以下のことを確認された。
・破水のような症状は無かったか?
・胎動は変わらずあるか?
幸か不幸か?自覚できる破水のような症状は無く、胎動も変わらずあった。と、思う。。。
※胎動があることが当たり前だったので、いきなり言われると不安になってしまう。
しかし、羊水が少ないなんて急に言われても焦ってしまう。というか、『えっ、えっ!?』と、ただただ焦るしか無いような気分だった。
私『赤ちゃん、どうなってしまうんですか!?』
先生『う~ん…、今すぐどうこうってほどの数字でもないけれど、急に減っちゃったね。様子を見るしかないね。』
私『今日がここの病院での最後の検診の予定だったのですが…、また来た方がいいですか?』
先生『う~ん…。このことは里帰り先の病院に申し送っておくよ。でも、急に胎動が無くなったり、破水のような症状があったらすぐに病院に行ってね。ここでもいいし、次の病院でも。』
私『分かりました…。』
この時、羊水が少ないということがどういうことになるのか分からなかった私は、ただただ大変なことになったのでは…という思いで一杯だった。意識したことの無い症状だったので、情報が圧倒的に不足している。。。
そして、看護師さんからすぐに名前を呼ばれ別室に案内され、今まで受けたことの無い機器をお腹に付けられ、45分程そのままでいるように言われた。後から知ったのだが、これはノンストレステストというもので、赤ちゃんの心拍数などを計測するものだそうだ。
看護師さんは『時間になったらまた来ますね。そのまま寝ていて下さい。』と言った後、『多分、この検査はこれから毎回することになると思います…。』と、続け、去っていった…。
私『!!!?』
検査を受けている間、私は不安で仕方無かったが、取り急ぎノンストレステストの結果に問題は無かったようで、『異常があった時はすぐに病院に来てください。』ということで帰れることになった。
『このまま何とか産めると思ったのに…。』
羊水が少なくなっている…という意味不明で不安な状況に急に陥り、私はただただトボトボ帰ることしか出来なかった。不妊治療で辛酸を嘗めてきた経験から『期待しすぎてけない。』と、結果的に自分が傷つかないよう、自らを戒めていたつもりだったが、妊娠が順調で、どこかに油断する気持ちがあったようだ。
そして、この事件により、しばらく抑えていた、私の検索魔としての血が目覚めてしまうこととなった。。。
15.妊娠中期-⑨母性健康管理指導事項連絡カードを職場に提出する
無事にお腹の赤ちゃんを出産するために、仕事環境を変えなければならない…。病院での号泣事件の後、私は決心した。
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私が通っていた病院の先生は重度の悪阻についてあまり親身になってくれなかったが、“しんどい・辛い”と思う気持ちは大げさでも何でも無いし、自分にしか感じられないことなのだから、自分で伝えていくしかないのだ。それに、友人の病院のように、病院側が積極的に働きかけてくれるケースもあるので、常識外れのあり得ないことを要求しようとしているわけでは無いはずだ。
渡された母性健康管理指導事項連絡カードを見てみると、症状の部分に悪阻の項目があり、『症状が著しい』の部分に〇が記入されていた。悪阻により体重が一気に5kg以上減り、吐き気で食べ物がまともに喉を通らない状態が悪阻が発生した妊娠6週以降、もう20週以上続いているのだから、立派に症状が著しい悪阻だ。
甘えじゃない、甘えじゃない、勇気を出して会社に訴えよう!
と、自分を奮い立たせた。
とは言え、あまり会社と対立する構図はよろしく無い。カード云々の前に、職場のPCや周辺機器の一斉取り換え等々、この状態で仕事を増やされても困ることを上司に言い出せなかった私にも現状を招いた責任はある。とうことで、ストーリー的には、
“ひどい悪阻が長いこと治まらず、体重が目標に全く届かない。赤ちゃんも小さ目で、仕事での無理は禁物との指示を先生から受けた。”
ということにした。
症状を訴えたのはこちらからだったとしても、カードを書いてくれたのは先生なので、ギリギリの所で嘘はついて無い。と、思う。
そして、この項目の標準措置は、『勤務時間の短縮』だが、帰る方法(バス)が無いので、時短勤務を望んでいるわけでは無い。仕事をこれ以上増やさないで欲しいだけだということを前面に出していこうと考えた。
それにしても、社会人経験の中で、産休・育休を取った人や妊娠中や復帰後に時短勤務を取った人のカバーに入ることは、これまで何度もあった。いつかは自分の番も回ってくるから…と、結構気持ち良く追加仕事を請け負って来たつもりだったが、自分の番が回って来た時、何で私は時短もままならない不便な環境(地方)にいるのか…はぁ…。
次の日、直属の上司2名に時間を取ってもらい、カードを見せつつ何とか理解を求めた。4月以降、増えた仕事で職場が大変なのは分かるが、苦しい不妊治療をしてまで授かった命だ。この子を守れるのは私しかいない。空気を読んでいる場合では無い!
意気込んだ私の思いとは裏腹に、話し合いはさっくり終わった。まあ、このご時世に、体調不良を訴える妊婦に無理して働け!という会社は余程のブラック企業だけだろう。内心どう思われたかは分からないが、あからさまに否定されること無く話し合いは終了した。話し合いというか、告知、という感じで終わった。
その後、部屋から上司2人が中々出てこなかったので、もやもやしてしまったが、なにはともあれ、それ以降、追加仕事を命じられることは無くなった。既にある増えた仕事は流石にそのままではあったが、勇気を出して本当に良かった。
それにしてもこのカード、ホームページなどで調べてみると、妊婦が雇用主に自分の状況を伝えるためにある、まさに私のような状況の人のためにあるものだった。
厚生労働省のホームページ
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/josei/hourei/20000401-25-1.htm
こんなのあるんだったらもっと早く教えてよ!先生!悪阻がしんどいことはいつも言ってたんだから!と少し思ってしまった(笑)
15.妊娠中期-⑧仕事で忙殺 病院で号泣事件 その2
前記事の続きです。
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重度の悪阻で仕事が辛いことを検診時に先生に相談した所、冷たく『どうしようも無い』と突っぱねられ、自分がしんどいのはただの甘えなのかと自責の思いで感情がぐしゃぐしゃになった私は、妊婦で溢れ返る待合室の片隅で声を殺して泣いていた。
一方で、
前に聞いた、友人が通っていた病院とは全然対応が違うぞ(そこはかなり妊婦に寄り添ってくれている感じだった)、
とか、
病院の人は私よりももっと心身をすり減らしてギリギリまで仕事しながら出産してるんだから、私がしんどいのはただの甘えにしか見えないんだろうな、
とか、
そもそも赤ちゃんに影響が出ないようにするために相談したんだけどな…、私が倒れた後じゃ大事になると思うんだけどな…。
等々、色々なことを考え始めていた。
そこへ、点滴のために看護師さんが名前を呼んでくれた。話を聞くと、いつも点滴を受けている近くにある処置室は一杯なので、別の棟の少し離れた部屋で点滴をするとのことだった。離れていても何でも、人の目につかない所に行けるのは有り難いことだった。
処置室への長い道すがら、看護師さんは私が泣いていた理由について聞いてくれた。
看護師さん『どうしたんですか?大丈夫ですか?』
私『実は悪阻がかなり辛くて…。ご飯は食べられないし、仕事もかなり忙しくて…。そのことを先生に話したらちょっと感情が昂っちゃって…。』
看護師さん『そうですか…。仕事しながらって大変ですよね。フルタイムですか?』
私『そうです。帰宅する頃には、フラフラになっていて…。』
看護師さん『あ〜。それは大変ですね…。私も経験があるから分かります。無理なさらないように、早めに休みを取ったりして気をつけて下さいね。』
流石に看護師さんの上司に当たる医師に言われたことがショックだったとは言えなかったが、この看護師さんに少し共感してもらえたことで、私の心は少し軽くなれた。一方で、また涙が止まらなくなった。
点滴をする処置室に着いても涙は止まらず、嗚咽しながら涙が流れる状態で…。生来血管が細く血管注射をしにくい私の血管はいつも以上に収縮し、直後にトライしてもらった針を通す注射は3回ともうまく行かなかった。
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30分程待ち、少し落ち着いてからまた再トライすることになったので、点滴の一連の工程だけで3時間30分もかける羽目になってしまい、病院を出る頃には完全に夕方になっていたが、私は思いの外スッキリしていた。
思い返せば不妊治療の結果妊娠が判明した時に嬉し涙を流して以降、私はほとんど泣いていなかった。不正出血などで焦って泣きそうになったことや、赤ちゃんの無事が確認出来、安心で涙が出た事はあったが…。悪阻がどんなに辛くても、仕事がどんなに忙しくても、涙は出なかった。そして、今回、久しぶりに出た涙で、私は思った以上にスッキリすることが出来たのだ。問題は何も解決してはいないが、涙によるストレス発散効果については心から実感した。
点滴が終わるまでの3時間30分。私は禅問答のように色々考え続けた(他に出来ることが無いから)結果、思った以上にストレスを溜め込んでいたんだという結論に至った。仕事をしている以上、ストレスフリーとはいかないが、溜め過ぎはやはり良くないので、記入してもらった母性健康管理指導事項連絡カードを職場に提出するための作戦を練り始めた。
15.妊娠中期-⑦仕事で忙殺 病院で号泣事件 その1
妊娠中期の後半とも言える26週に到達した頃、世の中は年末に差し掛かろうとしていた。
そして、私の悪阻はまだ終わっていなかった。レモン水のおかげで少しましになっていたが、検診毎の3時間の栄養点滴は不可欠だった。
この頃にはもう、出産するまでこの吐き気悪阻と付き合っていかなければならないと覚悟を決めていた。が、問題は体重だ。
妊娠26週になっても、やっと妊娠前の体重に戻るか戻らないかという状態で、相変わらずお腹の赤ちゃんの体重はギリギリ許容範囲の値をクリアしつつも、低空飛行を続けていた。
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妊娠初期に病院の保健師さんに告げられた出産時の目標体重は60kg!だが、長引く悪阻で絶対にその体重に到達できないことは明らかだった。10kg近く足りない…。だが、吐いてしまうのだからもうどうしようも無い、ということで、この部分は半ば諦めの境地に至っていた。
そして、もう一つの問題、それが仕事。
過去記事にも書いた通り、この年、私の部署は増員も一時的な助っ人も無いまま、新規事業立ち上げ関連で業務量が増大していた。
さらに4月、不妊治療や父親の病気という、事情があって異動を希望していた私だけが取り残され、他の班員全員が異動してしまうという、地獄のような状況に陥っていた。
そして、新しく来た直属の上司は、様々な面で細かいことに拘る人だった(筋は通っているし決して悪い人では無い)。
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仕事のピークは4・5月で、6月以降は一応の落ち着きを見せたが、それでも新上司によるチェックが厳しくなったルーティンワークの中に新規事業関連の仕事が入り込んだ。
そして、産休・育休を念頭に置いた大量の引継ぎ書類の作成ごが命じられ、さらに、職場のPCや周辺機器の一斉取り換え等々、数年に1度あるか無いかのイベントにも当たり、残念ながらその担当にも『PCに詳しいから。』という意味不明な理由で任じられてしまった。
極めつけは、監査等、例年であればさほどでもめない案件も、新規事業案件に関わってややこしくなるなど、地方の職場に異動してきた過去2年間は問題無く通過できていた案件もすんなりいかず、体がどんどん辛くなる私に、どう優しくみても総じて例年の1.5倍以上の仕事がのしかかっていた。
仕事が増えたのは他の班員も同じなので、一部の仕事を唯一3年目の古株になる私に振らざる得なかった新上司の立場も理解できるが…、肉体的な辛さと、低体重気味の赤ちゃんに関する不安で、自分が認識していた以上にストレスを溜め込んでいた。それが爆発したのが妊娠26週の定期検診の時だった。
その2週間程前から仕事のあれやこれやで
『このままだと、私は本当に倒れてしまう。』
という強迫観念に襲われていた。そこでこの日の検診で、仕事が肉体的に辛いことを先生に相談しよう…と、心に決めていた。エコーなどの診察が終わり、赤ちゃんが順調であることが確認された後の質問タイムに入った時、私は勇気を出した。
私『先生、、、悪阻で体が辛い中仕事が忙しくて…。ただでさえ忙しい中、産休育休のための大量の引き継ぎ書類も作成しなくてはいけなくて、本当にしんどいんです。診断書を書いてもらって職場に働きかけるなど、何とか手だては無いでしょうか?』
先生『仕事が辛いって?』
私『妊娠しているのに、例年よりも仕事がとても多くて溢れているんです。残業ができないので昼休みもあまり休まずに頑張っているんですが…。』
話がこの辺りに差し掛かった頃には、私はびっくりする位感情が昂り、大泣きしながらやや錯乱気味になっていた。そして、先生に話してもどうしようもない仕事の細かいことを含めて、辛いことを話し始めてしまった。。。
先生『あ~あ~、もういいから!あのねえ、そんな細かいこと僕に言っても仕方無いから!だいたい、赤ちゃんが危険な状態というわけじゃ無いから診断書なんて出せないし、会社を休んでも悪阻が治るわけじゃないからどうしようも無いよ!』
※イラついてるのが伝わる言い方。
私『ず、ずみません…。(大泣きしながら)』
大人気なく錯乱してしまった私も悪いが、先生の反応があまりにも冷たく、突き放されたことに私は大きなショックを受けた。先生に『どうしようも無い』と言われてしまうと、辛く感じている自分が甘えているだけのように感じ、自責の念に駆られ、冷静になろうとしても涙が余計に溢れて来た。
先生『あ~あ〜。じゃあ、母性健康管理指導事項連絡カード っていうのがあるから、それ書いてあげるよ。ただ、病院から仕事を減らせっていうのでは無くて、妊婦だから配慮してって言う程度のものだから、交渉はあなた次第で、どうす受け取るかは会社次第だから。』
私『わ、わがりました。ありがとうございまず。。。』
先生『いつもの点滴は受けるね。じゃあね。 次っ!』
診察が終わっても私はまだ上手く感情をコントロールすることが出来なかった。
溢れる涙。止まらない感情の波。
先生にどうしようも無いと言われ、自分が情け無いやら、恥ずかしいやらのぐるぐるの感情がどうにもならない。
涙が止まらないので、私は目立たないよう待合室の片隅で声を殺して泣いていた。
~その2に続く~
15.妊娠中期-⑥同僚の何気ない言葉で傷つくこと
私の会社では不妊治療時の対応と違い、妊娠という黄門様の印籠を手に入れた妊婦には、法律や厚生労働省の指導に則った保護制度があり、実際にそれを利用できる空気がある。その一つに、妊娠中の通勤による負担緩和や残業の禁止(本人の申し入れが必要)があって、通勤中の混雑による母体の負担を軽減するため、1日当たり30分~1時間程出勤時間をずらしたり時短勤務(時短の場合給与が減額される)とすることが認められている。そして、本来の趣旨と併せて、妊娠そのものに大きな問題は無いけれども、体調が思わしくなかったり丸一日の勤務に耐えるのが難しくなってきた職員が、気軽に取れる時短として利用するケースが結構あるようだった。
もちろん、妊娠に何かしらの問題が発生した場合、正式に申請をすればそれ以上の時短勤務は認められるようだが、その場合、医師の診断書が必要だし、私のように妊娠自体にはさほど問題が無いけれども、悪阻などによる体調不良が続いているだけの人には、病院によっては診断書を出してくれないケースもあり、、、大げさにはしたくないけれど、丸一日勤務を続けるのは辛い…という妊婦にとって、この制度は非常に使いやすい。
少し前置きは長くなったが、妊娠中期の後半に差し掛かろうとしている時、仕事上のことで私の心が密かに傷つく出来事があった。別の課の同僚にお昼過ぎ頃に本社から明日迄に回答しなければいけない問い合わせのメールが来ていたそうだ。別の課と言っても、同じ部屋の隣の島のことなので、会話などは丸聞こえだ。その同僚は別の業務の関係で、そのメールに気づいたのは夕方頃のことだった。
同僚『なんじゃこのメール!うわっ最悪!ん?書いていることの意味が一部分からん!』
~同僚 問い合わせ先に電話~
同僚『えっ!なにそれ!そんなん期限までに問い合わせに答えられません!困ります!』
~同僚 電話を切る~
同僚『問い合わせしといて何なんだ!(大きな声の独り言)』⇐かなりイラついてる
~同僚 同僚の課の課長の所に行く~
同僚『課長、本社の〇〇さんから明日までの問い合わせのメールが来たんですけど、内容に一部判断し難い部分があって問い合わせた所、〇〇さんが妊娠中で、通勤ラッシュを避ける時短?か何かでもう社に居ないみたいです!他に事情が分かる人も居ないみたいなので、期限内の回答ができません。そのことで本社からクレームが来る可能性もあるので、事前に事情を伝えておきますね!』
課長『了解しました。』
~同僚 自席に戻る~
同僚『問い合わせをしておいて妊娠で早帰りって、勘弁してくれよ!!!(大きな声の独り言)』
直接私に言われた言葉では無いが、私は同じ妊婦として地味に傷ついていた、というか、気まずい思いをした。問い合わせをした本社の人がどんな状況なのかは分からないが、都会にある本社に勤めの妊婦が、通勤ラッシュの負担軽減のために1日当たり1時間程度の時短を取るのは仕方無いことではないだろうか?一つ前の職場が本社だった私には、ラッシュの壮絶さが良くわかる。その人が休職しないだけ職場の人達は助かっているはずだ。それに手軽に取れる時短と言っても、事前に上司の許可を取る必要はある。同僚からの問い合わせに答えたくなくて急に取得したわけでは絶対に無い。そして、この制度、実は私もそろそろ利用したい…と考えていたこともあり、『何だかなぁ。』という気持ちにさせられた。
恐らく同僚に悪気は無い。同僚の立場であれば私でもイライラするかもしれない。怒り出したくなる気持ちも分からなくもない。でも、どちらかというと普段穏やかな同僚がこの時見せた、激しくイラつく様子や、問い合わせ元の妊婦の担当者に対する言い方に、明らかに敵意のようなものを感じ…とても辛い気持ちになった。被害妄想かもしれないし、だからどうという分けでは無いのだが…。
ちなみに、結局私はこの時短制度を結局利用できなかった。その理由は、今回の出来事で…ということでは無く、1時間の時短をしても丁度いい時間にバスが無い!という、田舎独特の事情によってだった。。。
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悪阻の症状は朝に酷く、吐き気の関係で相変わらずタクシー通勤を朝は続けていた。が、毎日帰りもタクシーだと、月の通勤費が6~7万円位になってしまい、、、不妊治療で貯金の多くを失ってしまった私達夫婦には非常に辛い出費だった。そこで、比較的症状が軽い帰路は、バス通勤に戻していたのだが…1時間時短をしても、乗れるバスが無いことが判明し…。フラフラしながら私はフルタイム勤務を続ける羽目になった。
そして、年末、引継ぎ関連の資料作成と、大量に発生した仕事で、私は地獄を見ることになる…。
15.妊娠中期-⑤待合室に私の嘔吐の声がこだまする
妊娠も21週に入った。
この頃から定期検診は2週間に1回になった。はっきりと分かる胎動もあり、赤ちゃんがお腹の中で生きていることを実感できるようになって
『赤ちゃんが亡くなっていたらどうしよう…。不妊治療を繰り返すのはもう嫌だ…。』
という恐怖から少しだけ解放され、心も少し軽くなった。
が、私の悪阻はまだ治まらない。。。命の水のレモン水の登場で
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『ごくごくお水が飲めるって最高!
ひゃっはー!』
状態だったが、食べられる量はさほど増えず、未だに体重は妊娠前以下で、体はとても辛く、常にフラフラしていた。そんな私を心配し、定期検診には仕事の調整がつく時は夫が付き添ってくれていた。
吐き気のせいで、家で、職場で、度々嘔吐を繰り返していたのだが、検診の待ちの間にも何度ももどしていた。妊娠21週での検診の際も、長い待ち時間中に気持ち悪くなり、
『ちょっと行ってくる…』
と、付き添いの夫を残し、同じ待合廊下の少し離れた所にあるトイレに駆け込んだ。
そこは待合廊下に面したトイレで、ドアをあけるといきなりトイレが一つだけある個室タイプだった。そこで、家を出る前に飲んだレモン水がリバースされてしまったわけだが、こんなのもう慣れっこだ。
思いっきり『おええっ』とした後、呼吸を整え、何食わぬ顔でトイレから出て夫の所に戻った。でも、夫の表情が何かおかしい。
理由を聞いてみると…
夫「妻ちゃん、また吐いたの?」
私「えっ?何で分かったの?何か口元についてる?それとも匂う?」
夫「吐いた時の『おええっ』って声がここまで聞こえて来てたよ…。かなり…。」
私「!?」
恥ずかしさで死ぬかと思った(笑)
何度も言うが、私が入ったトイレは、座っていた所と同じ待合廊下にあったが、少し離れた所に位置していた。
私のげーの声が夫の所まで鳴り響いていたということは、同じ待合廊下にいる結構な数の全ての人に聞こえていたと考えて間違い無い。
そう言えば、一人で行った一つ前の検診の時も同じトイレで吐いて、ドアを開けた瞬間、結構な人がこっちを見ていたことが思い出された。その時は、ドアを開ける時の音が大きかったのかな…と、特に気にしなかったのだが、今考えると合点がいった。
っていうか、そんなに音が漏れているなんて!トイレの防音性低すぎ!!!と、半ば逆切れのような思考に陥ったのだが、これまでのことも含め、結構沢山の妊婦の皆様に大変聞き苦しい胎教にも悪い音を聞かせてしまったという罪は疑いようもなく…。今となっては謝りようも無いので、ここで一言。
皆様、本当に申し訳ありませんでした!!!
その日の検診結果には問題が無く、いつもの3時間の栄養点滴を受けて夕方頃に帰宅できたのだが、久しぶりに恥ずかしさで嫌な汗をかいた出来事だった。